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四十肩のメカニクスと改善法:痛みと可動域制限を乗り越える!

四十肩のメカニクスと改善法:痛みと可動域制限を乗り越える!

2025年07月01日 14:30


「腕を上げるとズキッと痛む」「服を着替えるのもつらい」そんな経験はありませんか?


もしかしたら、それは四十肩(五十肩)かもしれません。正式には肩関節周囲炎と呼ばれるこの症状は、


40代〜60代によく見られ、日常生活に大きな影響を及ぼします。


しかし、そのメカニクスを理解し、適切な改善法を実践すれば、痛みは和らぎ、再び自由に腕を動かせるようになります。


四十肩って何?そのメカニズムを解き明かす


四十肩は、特定の病名というよりは、肩関節とその周囲の組織(腱、関節包など)に炎症が起こり、


痛みや可動域の制限が生じる状態の総称です。なぜこの年代に多く見られるのでしょうか?


そのメカニズムを見ていきましょう。



  • 加齢による組織の変化: 加齢とともに、腱や関節包といった組織は弾力性を失い、硬くなったり、もろくなったりします。これにより、小さな負荷でも損傷しやすくなります。


  • 炎症と癒着: 損傷した組織に炎症が起こると、痛みが生じます。この炎症が長引くと、周囲の組織同士がくっつき合う**癒着(ゆちゃく)**が起こり、これが可動域制限の主な原因となります。まるで、関節の動きをスムースにする潤滑油が減り、ベタついて動かなくなるようなイメージです。


  • インピンジメント症候群(衝突症候群): 肩を動かす際、肩峰(けんぽう:肩甲骨の一部で肩の最も高い部分)と上腕骨頭(じょうわんこっとう:上腕の骨の先端)の間にある狭いスペース(肩峰下腔)で、腱板(けんばん:肩を動かす重要な4つの筋肉の腱の集まり)や滑液包(かつえきほう:摩擦を減らす袋状の組織)が挟み込まれてしまう状態です。特に腕を上げる動作で痛みが生じやすく、この挟み込みが繰り返されることで炎症が悪化し、四十肩の症状を強めることがあります。


  • 狭窄症候群: これはインピンジメント症候群と密接に関連しています。肩峰下腔が何らかの原因で狭くなり、その中を通る腱板や滑液包が圧迫されやすくなる状態です。加齢による骨の変形(骨棘の形成)や、炎症による滑液包の肥厚などが原因でこのスペースがさらに狭くなることがあります。これにより、腕の動きが制限され、痛みが増強します。


諦めないで!四十肩の改善法


四十肩は、適切な対処をすれば必ず改善に向かいます。焦らず、ご自身の状態に合わせた方法で取り組んでいきましょう。


1. 急性期(痛みが強い時期)


この時期は、何よりも痛みを悪化させないことが重要です。

  • 安静: 無理に動かさず、痛む動作は避けてください。ただし、全く動かさないと固まってしまうため、痛みのない範囲で腕をぶらぶらさせるなど、軽い動きは行いましょう。

  • アイシング: 炎症を抑えるために、患部を冷やすのが効果的です。ビニール袋に氷と少量の水を入れて、タオルで包んで15分程度冷やしましょう。

  • 消炎鎮痛剤: 痛みが強い場合は、医師や薬剤師に相談し、内服薬や湿布薬を使用することも検討しましょう。


2. 慢性期(痛みが和らいできた時期)


痛みが落ち着いてきたら、徐々に可動域の改善筋力の回復を目指します。

  • 温熱療法: 肩を温めることで血行が促進され、筋肉がほぐれやすくなります。温かいタオルやカイロ、お風呂などで温めるのがおすすめです。

  • ストレッチ: 硬くなった肩関節の動きを改善するために、ゆっくりとストレッチを行いましょう。

    • 振り子運動: 前かがみになり、腕の力を抜いてゆっくりと前後に、左右に、円を描くようにぶらぶらと動かします。

    • 壁を使ったストレッチ: 壁に手をつき、少しずつ体を壁に近づけていき、肩の伸びを感じます。

    • タオルを使ったストレッチ: タオルを両手で持ち、背中に回してゆっくりと上下に動かします。

    • 注意点: 痛みを感じる手前で止め、無理のない範囲で行うことが重要です。反動をつけず、ゆっくりと伸ばしましょう。

  • 筋力トレーニング(軽度): 肩を支える筋肉を強化することも大切です。チューブなどを使った軽い抵抗運動から始め、徐々に負荷を上げていきます。

    • 例: 軽いダンベルやペットボトルを持って、腕を横に開いたり、前に上げたりする運動。

  • 正しい姿勢の意識: 猫背や巻き肩は肩への負担を増やします。日頃から良い姿勢を意識し、肩への負担を減らしましょう。


3. 専門家への相談


「自己流でやっているけれど、なかなか良くならない」「痛みがひどくて日常生活に支障が出ている」という場合は、迷わず整形外科医理学療法士に相談しましょう。

  • 診断と適切な治療: レントゲンやMRIなどで正確な診断を受け、症状に合わせた薬の処方、リハビリテーションの指導などを受けることができます。

  • 専門的なリハビリ: 理学療法士は、個々の状態に合わせた効果的なストレッチや運動を指導し、正しい体の使い方を教えてくれます。



四十肩との付き合い方:日常生活での工夫


四十肩は、一度発症すると再発しやすいとも言われます。日頃から以下の点に気をつけ、肩の健康を保ちましょう。

  • 適度な運動とストレッチの習慣化: 肩だけでなく、全身の柔軟性を保つことが大切です。

  • 体を冷やさない: 特に肩周りは冷えやすいので、冷房の効いた場所では羽織るものを使用するなど、意識して温めるようにしましょう。

  • 無理な姿勢を避ける: 長時間のデスクワークやスマートフォン操作など、同じ姿勢を続ける場合は、こまめに休憩を取り、ストレッチをしましょう。

  • バランスの取れた食事と十分な睡眠: 体の回復力を高めるために、基本的な生活習慣も整えましょう。




四十肩はつらい症状ですが、決して治らないものではありません。ご自身の体と向き合い、適切なケアを続けることで、必ず改善の兆しが見えてきます。諦めずに、前向きに取り組んでいきましょう!